かなり難しかった。例題が少なく、抽象的で、具体的なイメージが湧かない。しかし、群論を公式や定理の洪水から学ぶより、その理論がどこへ行くのか、なぜ生まれたのかを元に構成されているので、興味は湧く。ここから教科書へ返ってやり直すのが一番かな・・・。
すばらしい群論入門書である。学部時代にこのような本で群論を勉強したかった。<P>すっきりとした語り口、丁寧な説明と豊富な例、そして親切な問を読み進めるうちにガロア理論が身についてしまうような名入門書だ。まさに「ラグランジュ、アーベル、ガロアの足跡をたどりながら」群論の成り立ちがだんだん明らかになっていく「小説群論」。この本は数学科の学生はもとより、物理や化学や情報工学の学生にこそ是非読んでもらいたい。<P>著者の原田さんは、すばらしい業績を持つ有限群論を専門とする数学者である。同じ著者の「モンスター/群のひろがり」も大変面白い。
ある著名な学者が「美しい数学の背後には常に群が存在する」といったことを語っている。また教育心理の巨人ピアジェは、人が幼児期から群の構造を会得するプロセスを分析している。本書はこのように身近な代数構造である群を、文系の人や大学初年級或いは数学好きの高校生にまで理解し得るように語る「小説群論」である。<P>シンメトリーを眺めるとそこには既に群が存在する。この第1章はワイルの著作「シンメトリー」を彷彿とさせる。そして第2章、方程式の歴史に群論の発祥の地を求めた。ガロア理論の概略に触れて、群論初歩に至る・・・これが続く2つの章である。第5章の終りではアーベルに想いを馳せて、楕円曲線に話題を延ばす。<P>魅惑溢れる本に仕上がっている。歴史でもないし、群論やガロア理論のテキストでもない。読者は題名通りの物語を辿って、なぜこの代数構造が必然的に在ったのか、初等群論の著名な定理の本質は何なのか、更には定理の山に埋もれ易いガロア理論とは何か、十分に理解することが出来るだろう。