最近この本の著者、佐藤学先生の本を数冊読みました。主張は一貫しています。競争と個人主義の教育から、「協同的な学び」へ転換せよということです。「学力」観が混乱している今、とても魅力的に思えます。<P>著者の関わった「浜之郷小学校」などに見られるという、聴き合う関係のもとに静かに真剣に取り組まれる質の高い学びは、いろいろな子が教室にいてこそ。「習熟度別」は、そうした学びの機会を減らすものであり、「上位」「中位」「下位」のどのグループにとってもマイナスが大きいといいます。<P>私の学校でも、「少人数指導」と「習熟度別」が十分な理由付けのないままにセット化されつつあります。同僚にもこの本を紹介したいと思っています。
習熟度別指導に早くから取り組んできたヨーロッパでは、それをやめる方向に教育改革が進んでいます。実際、こないだの国際学力比較テストで飛び抜けて1位となったフィンランドは、行わない方向に改革してきましたし、上位8位までの国は基本的に15才まで行っていません。これはどうしてなのか。何が問題なのか。習熟度別指導でないなら、どうすればいいのか。すでに始められているこれからの教育にも言及します。70ページほどにまとめられた、非常にわかりやすい内容です。