「公共性」を語るときには外せない本です。<BR>アレント、ハーバーマスなどの「公共性」についての主張が<BR>わかりやすく語られています。<BR>その意味で基本書です。<P>しかし、同時にこの本は発展書です。<BR>著者の斎藤氏は、「公共性」の暴力的な部分を意識した上で、<BR>「親密圏」の位置を重視しています。<BR>一般に「親密圏」は家族と重なるものとして理解されます。<P>アレントはこの「親密圏」を私的な領域として蔑視しました。<BR>しかし、斎藤氏はその「親密圏」を、家族に収まらない領域と<BR>位置づけ、「公共性」と相互補助の関係にある豊かな領域として<BR>描き出します。<P>さまざまな学問領域に有意味な本です。
公共性という現代的なテーマについて理解するための基本的な書籍であると評価出来ると思います。ハンナ・アーレントに関する理解も非常に正確であるし、その一方で公共性という語をめぐる様々な理解、周辺の状況についても充分に把握されています。構成もしっかりしていて、論旨も明確で、ぶれがありません。
大変刺激的な本でした。<BR>アレント、ハーバーマスはもちろん、フレーザーやアガンベンなどについても言及し、薄い本にしては一線の学者の論も紹介されていてよいです。