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| フランクリン自伝
(
フランクリン
松本 慎一
西川 正身
)
ベンジャミン・フランクリンはアメリカ資本主義の父とも言われる存在であり、その多方面での活躍ぶりを自ら書き記したのが本書である。18世紀のアメリカには高等教育を担う大学は十分ではなく、ラテン語学校が中等高等教育を担っていたともいえる。フランクリンは、ボストンに生まれ、この地で教育を受け、兄の印刷所を手伝いながら成長してゆく。17歳のときにボストンを家出同然に出奔し、フィラデルフィアで苦労を重ねながら、印刷所を起こし、成功を収める。その一方で植民地の内政にも関与し、後の独立戦争にも関わる。フランクリンの成功の影には、本人の才能もあるが、ブレーンを大事にし週1回の勉強会を開催するための会員制図書館Library Company of Philadelphia(現在は研究図書館として現存する)を運営したことであろう。これは後の独立宣言が起草されるさいにも大きな役割を果たす。他にも伝記の発見に繋がる様々な実験やインディアンとの紛争調停や内乱を経験しながらも、アメリカ独立前後の国政にも、植民地宗主国イギリスとの交流にも大きな役割を果たす。<P>本書は息子と彼の子孫のために書かれたものである。しかし、フランクリンの成功談としての本書は、のちにドイツの社会学者マックス・ウェバーが主著「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に援用したとおり、アメリカ資本主義の原点とも言われている。昨年アメリカでは新たなフランクリンの伝記が刊行されたが、本書を読んでおくことで18-19世のアメリカ史、アメリカ資本主義とアメリカの宗教史として読むことも可能である。フランクリンの墓所は、フィラデルフィアのクエカー教徒の墓所に道を隔てて眠る。また東隣にはアメリカ財務省の造幣局(硬貨のみを鋳造)に近い。彼は紙幣を考案した著作が最初のものである。彼の生前の著作は上述の会員制図書館がすべてを収める。フィラデルフィアの街並みを思い出しながら、楽しく読めた自伝であった。
フランクリンが、若い頃、<BR>目標を考えたり、自分の人格を考えたり<BR>しているところがいい。<P>後半は、ボランティアや社会活動の記録が<BR>メインになっています。<BR>関心のある人には、楽しいことでしょう。
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