|
| ベートーヴェンの生涯
(
ロマン・ロラン
片山 敏彦
)
僕は極めて良質でクセの強い文豪が他の芸術家1人に対してかなり入り込んだ愛を感じて、それを作品に表現するのを読むのが極めて好きである。そしてそこには必ず何かの色が生まれるはずである。ロマン・ロランは極めて難解な表現や例えを使ってベートーヴェンの音の素晴らしさを主張するが、それは難し過ぎて僕には殆ど理解出来なかった。しかし理解出来なくても魅力的でしょうがないところがまた素晴らしいではないか。 大作家の手による伝記は、私が予想していた無味乾燥な伝記とは大きく異なりました。ロマン・ロランは、不遇のうちに生涯を終えた一人の偉大な天才の生涯のみならず、その思想までをも鮮やかに描き出すことによって、読者に多くの感動と教訓を与えることに成功しています。小作品ではありますが、読者に与える思想的な影響力の強い作品であると感じました。
|