五人の代表的な日本人を海外へ紹介した短編集です。<BR>私はこの本を読むことにより歴史・時代小説の世界へと入り込みました。<BR>私にとっては記念すべき入門書です。<BR>新渡戸稲造の「武士道」とセットでどうぞ。
昔、確か立花隆かだれかの本の中で、故ケネディ大統領は「政治家として最も尊敬する人は上杉鷹山」と語ったという内容を読んだ記憶がありました。その時は、一体ケネディ氏はいつどこで上杉鷹山の事を知ったのだろうと不思議に思いましたが、この本を読んでそのなぞが解けた気がします。元々この本は20世紀の初めに敬虔なキリスト教徒である内村鑑三が英語で書いた本であり、確か当初ニューイングランド地方で出版されたと思います。そういう意味で、ボストン出身の若き日のケネディ氏が、この本を読んだという事は十分想像できます。100年前に書かれた事を感じさせない素晴らしい内容の本です。偉大なる代表的日本人達。何度読んでも、思わず姿勢を正してしまいます。
日本人らしく、しかも平均的日本人のレベルを越える五人の生き方を通して、今が求めている日本人の理想像を見つけました。自らもまた代表的日本人である内村鑑三によって書かれた人間学の良いテキストだと思います。やさしい文章と新しい翻訳によってますます読みやすくなりました。キリスト者としての価値観と西欧的価値観の違いも理解しやすいでしょう。幕末から明治にかけて日本のリーダーらに影響を与えた陽明学も垣間見られて興味深いと思います。