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| 風土―人間学的考察
(
和辻 哲郎
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有名な学者の書いた有名な本であり、ありがたく拝読した。<BR>そのうえで、二つのことを感じた。<BR>戦前の環境で、つまり、ひんぱんに海外へいけるわけでもないのに、よくここまで書いたなという感想がひとつ。<P>もうひとつは、それだけに現地を仔細に見ることができず、人と話すこともできなくて、部分を見て、あるいは思いつきを並べて断定するような部分も多いと感じた。<BR>たとえば、インドへの考察には、部分しか見ていないがゆえの即断を指摘し得るし、ほかも同様であろう。<P>これを総括するに、現代のわれわれがこの書にとらわれる必要はないものの、風土と文化との関連を論じる視点は、なお今日的意義をもっているように思う。
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