ルソーの哲学、理想、格言などを期待してこの本<BR>を買って読んでみたのだが、役者の前書きにあるように<BR>いそがしい毎日をすごしているあなたに<BR>ぜひお読みください、とは言いにくい。興味深く現在に通じる<BR>ところも数多くあるが、田舎暮らし一点張りの理論が<BR>長々続いたり、赤ん坊は強く育てる為に高温や低温の水に慣らせるべきだ・・<P>とかルソーの言う自然状態に矛盾してないか?と思う個所も多かった。<BR>本の解説に小説体の文章とかかれてあったが、わたしはルソーの<P>哲学ときつい世間話のような印象受けた。エミールとルソーの<BR>やりとりのページ多くはないが、その部分は楽しめた。
長年教師として教育に携わってきたルソーの考察と<BR>独自の教育論が展開する。 様々な誘惑で人間を堕落させる<BR>都会から離れて、田舎で素朴に子育てしようと説いている。<BR>善良な両親のもとで、野菜を多くとり、健全な生活を送り<BR>優良児を育てるのが良いそうだ。 昔から、子どもの教育は<BR>問題になっていたが、各家庭にふさわしい程度で十分で、<P>過度な過保護や、厳しいお勉強も、子どもの体や心が病む原因に<BR>なるという。 ルソーは、金持ちや医者に嫌気がしており、<BR>彼らは、教育など全く頭になく、子どもを他人に任せても平気で、<BR>将来子どもが様々な障害にぶつかることを予測している。<BR>また、人の人生など変わりやすく、貧富など社会の変化に応じて<P>どうにでもなるということだ。 子どもの人生を幸せにするのか<BR>不幸にするのかは、両親の力にかかっている。
ルソーはフランス革命前夜の啓蒙思想家といわれている。この本はエミールという架空(自分?)の少年を育てる教育論という形で著されているが、実は立派な哲学書であり、人生論であり、自然科学書なのである。「人間よ、人間であれ」と、自然に育てられることの重要性を述べている。個人的には、ルソーは医者ぎらいで「医者はペテン師だ」というくだりは面白かった。20年かけて著されたものでやや脈絡をつかみにくいが、文体はそれほど難解でなく、むしろ美しい自然描写もあいまって不朽の名著といえる。ルソー自身は幼い頃父親を失ったのであるが、少年の心の動きをこれほどまでにとらえている瑞々しさは永遠のものである。純粋な心を失いかけている現代のオトナにこそ、原点としてお勧めしたい。