現代日本の歴史教育においては、民衆が立ち上がった反乱なり革命なりは常に「正義」として語られる傾向があります。その中でも最も賛美されるのが、この本の主題であるフランス革命でしょう。私自身もそう教えられてきたので、この本を読んだときには衝撃を受けました。この本における革命批判は、激烈で、革命と同時期になされたものであるために、多少なりとも偏見を含んでいますが、一貫してリアリズムの視点から捉えられています。著者のバーク自身が、責任ある英国下院議員という地位にあったことが、こうした分析を生む基盤になったことは確かでしょう。彼の視点は、現代の諸問題を考えていく視座の一つとして大切だと思います。
保守主義の代表的古典。なので、保守主義者になろうとか保守主義者をとっちめようとか思ってる人は必読です。<P>保守主義はいろんな要素を含んでいて判然としないところがありますが、フランス革命に即して具体的に論じている本書を読むと、バーク的な保守主義を体感することができます。<P>彼は改革自体は否定しないのですが、フランス革命派の向こう見ずなやり方、旧制度のもっていた利点を理解せず、新制度の欠点を考慮しないやり方に猛烈に反対したのでした。それから、財産権と血統をすごく重視するのでした。<P>バークを徹底的に読みたい、という人には『バーク政治経済論集』や『バーク著作集』があります。高価だったり絶版だったりするので図書館ででもどうぞ。<P>保守主義についてのオーソドックスな検討としては、足立幸男『政策と価値』が一章を割いて論じています。絶版だから図書館にしかないけど面白いです。<P>本格的なものとしては石川晃司『保守主義の理路』をどうぞ。
保守主義の起源とされる名著。フランス革命がまだ初期の段階であったにもかかわらず、フランス革命の本質をつく批判を行い、その帰結を的確に予言している点は驚きに値する。本書に現れる警句の数々には、すべてを破壊し尽した上で抽象的原理をもとに歴史から乖離した国家を建設しようと意図する革命政府への怒りにも似たバークの感情が垣間見えて面白い。バークの予言の数々はフランス革命のみならず、スターリニズム、文化大革命、ポルポト政権、と時代を経ても的中しているように感じられるので、現代を批判的に捉える視線として読みつがれていくべきだといえるだろう。