歴史は歴史家も含めて歴史なので相対性を免れ得ない。優れた歴史家は未来を考慮に入れた歴史の因果律・価値体系を作る。(これはその価値体系・因果律を保証するのは、その未来の予言部分によるしかないからだ。未来が当たっていれば、つまりその歴史家による過去の考察も正しかったのだろうと人は考える)歴史家は歴史の中から現代にも通用する因果律を見いだそうとする。しかし歴史を考察する際にそのような歴史の定石的先入観を持ってはいけない、ってな内容。<P> 結局、E.H.カーも自分で述べた歴史の相対性という呪縛から逃れられない。その歴史の考察が優れているか否かは現在に於ける有用性でしか計れない。著者もこの点に気づいている。19世紀以前よりましになったという。そして現在の歴史は理性の拡大だという。なんにしても相対性につきまとう無意味感から逃れようと必死だ。著者も混乱しているようだ。歴史には解釈しかない、とニーチェっぽいこともいっている。
<BR> この本は著者の講演を文章にしたものだが、言わんとする<BR>ことがむずかしいためさらりと読めるものではけっしてない。<BR>なんとか読み通せたけれど、これを読んでちゃんと理解してる<BR>人はすごいと思う。<P> こういうむずかしい本に挑戦してみるのもいいかも。頭が鍛え<BR>られると思う。
歴史嫌いの私を一変、歴史好きにさせた本です。<BR>歴史家は、過去のことばかりほじくっている根暗な人、<BR>と私は思っていました。「歴史とは現在と過去の対話である」<BR>という有名なフレーズからもそう思ってしまいます。<BR>でも、カー先生はそうではなかったのです。<BR>先生は、歴史は「未来との対話」というのです。<BR>日本にも温故知新という諺がありますが、<BR>まさに先生もそういいたかったのでしょう。<BR>私も「歴史はこれからの自分にも役に立つのね」と分かりました。<BR>そういった意味でとても含蓄ある本ではありますが、<BR>ちょっと理論が一定していない。<BR>読んでいて少し疲れてしまう本です。<BR>これから歴史を学ぶ人には是非読んで欲しいですが、<BR>そうでない人が読むには厳しい本です。