~立花隆の『臨死体験』の参考文献に載っていたので、そこから興味を持って読んでみた。ジョン・C・リリィが作った臨死体験が出来るタンクに入ったときの文章を読むのが目的だったが、そのくだりは下巻になるまで出てこなかったのでご注意。<P>~~<BR>上巻から下巻まで時間軸にそってファインマンの面白ろ可笑しい自叙伝がつづられているので、上巻では幼少時代からコーネル大学の教授時代まで描かれている。中でも、原爆を製造するマンハッタン計画に関わった時期のエピソードは、何故、物理に捧げる人生が面白かったのかが彼の人間味と共に描かれていて、万人の興味を促すことうけあい。<P>~~<BR>原爆がどういった状況で作れていったのかを興味を持つ方もおられることだろう。被爆者の国に生まれた者とし!、実は少なからず抵抗が読む前にはあった。こちらは原爆の結果を知っていて、当時のファインマンは知らないからである。ファインマンの自叙伝は、原爆がどのように使用されるのか全く知らされず、戦時下の母国に若者が協力する経過として描かれてい~~て、ついに完成した時には、その恐ろしい使われ方を考えるに至って、一時的にせよ時代を否定的に考えるようになってしまったエピソードがはさまれている。戦後、道路工事の現場を通りかかってファインマンはこう思う。「ばかばかしい、何であんな新しいものなんか造っているんだろう?どうせ無駄になるものを・・・。」あっさりとはしているが、地球誕生直後以~~来、地球には存在しなかった元素、プルトニウムを造る計画に参加した者が背負ってしまう、暗影響というものが理解を感じる一文だった。~
ノーベル賞科学者の自伝と聞くと研究や勉強の話ばかりで堅いと思われるかもしれない。しかし、ファインマンの自伝は違う!と断言できる。むしろ彼がやったいたずらの話が多い。研究でも非常に広範囲にわたって成果をあげた人だが、彼の興味は物理にとどまっていない。自分の興味あるものに取り組み、自分の生きたいように生きた人だと感じられる。人生を本当に楽しんだ人だろう。自分の人生もかくありたい。
これをはじめて読んだのは小学生の時でした。もし姉が小学生の私に<BR>この本を貸してくれなければ、私の人生は大幅に変わっていたと断言できます。<P>当たり前ですが難解な本ではありません。エッセイ集みたいなイメージで<BR>とらえてもらえると間違いないでしょう。日常の些細な出来事に注目して、<P>それをとても面白く語っています。本当に楽しく読めると思います。<P>一つ一つの話が、とても印象に残る、心からお勧めする本です。