戦後の日本社会の転換点の一つとも下山事件。葬り去られてはならない重大な<BR>問題であることは、今まで数多くの書物が出版されていることもからも異論はな<BR>いだろう。事件後半世紀近い年月が流れ、風化が著しいこの事件に改めて焦点を<BR>当てた著者の意気が大いに買いたい。<BR> しかし、今回の取材によって明らかにされたことは一体なんなのか?という点<P>には最後まで大いに不満が残る。前のめりの文体は若書きのせいだとしても、せ<BR>めて、頑張った自分の心象風景を描くのではなく「事実」に対する執着を示して<BR>欲しかった。<BR> 総じてプロの仕事という感じがしなかった。
森達也「下山事件」(新潮社)が出版された。後から出版されたため後追いの印象を持たれる方もいると思われるが、この森氏の著作を読むと、「葬られた夏」との関係が理解できる。<BR>そもそも週刊朝日に森氏が連載していた下山事件に関する記事が「葬られた夏」の下敷きにもなっているのだ。<P>「葬られた夏」は盗作とは言わぬまでも企画の横取りであり、優れた問題提起を続ける森氏のファンの一読者としては疑問を感じざるを得ない。出版人のモラルを問いたい。
丁寧な取材を積み重ね、いろんな断片的な情報がだんだんつながって事件がすこしずつ解き明かされていくんだけど、どきどきして小説を読むようにおもしろい。1つの事件を深く追っていくことが、事件の解明だけにとどまらず、社会全体の問題を解き明かしていくことをしりました。<P> 構成がよくって、ぜんぜん飽きない。子供が生まれてから、夜は眠くて本が読めない体質になっている私が、一晩で読んじゃいました。ハリーポッター以外の本ではこれだけです。読む価値あり!