お二人の対談はまるで、茶飲み話のようにまったりとしていて、なんだかまったりとした気分になりました。仏教の難しい話はほとんど出てきません。その意味でこの本に仏教知識を求める方はガッカリされるかもしれませんね。ただ、生きた仏教を身近に感じる本としては、とても心なごむ内容でした。しかし、河合隼雄氏はいいとしても、中沢新一氏が<P>こんなにほのぼのとした側面があったのかと驚きです。知的刺激という面では前の「ブッタの夢」の方がありましたが、こういう本を読んで癒されるのもいいものだと思います。
個人的にこの二人を嫌いでないということもありますが、それをおいてもなかなか興味深い対談でした。<BR>仏教の教義など、何たるかを知りたい人には方向性が違いますが、<BR>宗教的対立や今の日本を取り巻く状況や物質文明などを考えるに<BR>一つの示唆を与えてくれると思います。<BR>これからは東洋的な思想が大事と単純な発言でなく、一神教など広範囲に踏まえて本当に考えていかなければならないことを<BR>考察しているやりとりは印象に残りました。<BR>もちろんお二人の専門知識、博識のもとに話が進んでいますので難しい部分もありますが、全体的にはとてもわかりやすかったです。<BR>あちらこちらに考えるヒントがあってとても楽しい一冊でした。
会話体で書かれているが非常に難解な本である。宗教学、文化人類学、民族学の素養のない人が読んでもさっぱり分からないことを保証する。中沢がほぼ一方的に訳の分からぬ事をしゃべりまくり、河合はいつもの精彩を欠いている。<P>一例を挙げる。以下引用。<P>中沢 永遠で変化しないものは人間の心に安心をもたらさないということですね。仏教が問題にしているのは、その生命体がまわりの世界と違う部分、ちいちゃい部分を作って、ここで何とか持続してみましょうというのが生命だと言ったわけですから。<P> でも、そうやってできた宇宙の中の孤島のような自分の存在に拘泥しているかぎり、生命は幸福になれないと言っています。(204ページ)