この本は六十年代のアメリカがいかにしてベトナム戦争に介入していったのか、軍、政治家、大統領、エスタブリッシュメントと呼ばれる集団、さまざまな立場から描かれたとても有名ですばらしい本です。著者は、D.ハルバースタムですが、翻訳者、浅野さんの訳も何の違和感も無く60年代の歴史に没頭できます。ベトナム戦争やケネディのことを知りたい方、アメリカの政治やシステムを知りたい方、ぜひお読みください。ただしダラスのことや、オズワルドのことには一言も触れられていなくその辺の徹底した無視の仕方が、逆にとても新鮮な感じがしました。<BR> 上巻では、ケネディ大統領誕生から、軍事顧問団をベトナムに派遣するまでが書かれています。
ハーヴァード・コネクション ― ケネディ大統領が自らのスタッフとして集めた頭脳集団をそう呼ぶ。ケネディ自身、同大学の卒業者であり、ケネディ家の寄付によって創設された政治学大学院、ケネディ・スクールは良く知られている。<P>同コネクションには首席補佐官を務めたウォルト・ロストウ、国務長官ラスク、駐インド大使に任じられた経済学者のケネス・ガルブレイス、ケネディ大統領のスピーチライターを務めた歴史家アーサー・シュレシンジャーなどが知られる。大統領の実弟で司法長官を務めたロバート・ケネディもその一員に含まれるかも知れない。<P>これほどの秀才を結集させながら、なぜケネディ政権、そしてそれを引き継いだリンドン・ジョンソン政権はアメリカ合衆国をヴェトナム戦争へとミスリードしたのだろうか。<P>エリートが陥がちな傲慢、すべてをコントロール出来るのだという自負、それが冷徹な現実の前にいかに破綻していったか、本書はあますことなくえぐりだす。<P>ケネディ政権は言うまでもなく歴代政権の中で、最も理想主義的な政権だった。続くジョンソン政権も貧困の克服や、公民権運動などとの関わりでは功績も大きい。しかしその理想主義が些細な逸脱も許さぬ偏狭に陥った時、権力者の面子のためにどれほど多くの若者が命を散らさなければならなかったか、それを思えば理想の言葉の意味を私たちは今一度かみ締めるべきかも知れない。
大統領はアメリカの未来を託すべく新政府に最高の頭脳集団をブレインとして集めた。新しい政府ははあらゆる国民の目から見ても明るい未来が開けているように見えた。 しかし・・・。何故エリート集団が大きなミスを犯してしまったのか、エリートとは?国政とは? エリートと呼ばれた人間が抱える根本的な問題を鋭く描くノンフィクション作品。