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沙中の回廊〈下〉 ( 宮城谷 昌光 )

 冒頭のいかにも大衆小説風の書き出しに、血湧き肉躍る爽快な物語を期待した。「この世は玄通だな。ひとつわかれば、そこに未知という回廊がいくつかあらわれる」。後に晋国宰相にのぼりつめる若き士会が吐くこの言葉に、希代の兵法家の痛快無比にして機略縦横の活躍を期待した。だが、所は中国、時は春秋の世、現代人の感覚では計り知れない論理がはたらく別世界である。人々を動かす原理は、礼であり義であり徳である。「徳の原義は、呪力のある目でおこなうまじないのこと」であったという。何しろ宗教が生まれる前夜、呪術が政治を支配する時代なのだ。内省を知った個人の主観的心理や感情ではなく、あくまで行動のうちに結晶する人としての格や器量こそが問題とされるのである。近代小説の骨法をふ!えたロマンを期待するのは野暮というものだ。宮城谷昌光の文体は終始乱れず、この異界の物語を描写しつくした。偉業である。いったんはまると、おそらくぬけだせまい。

古代中国の晋国を支え続け、五代の王に渡って仕えた士会の人生。文公に間接的だが仕え始め、戦功を直属の上司に認められ、徐々に昇進していく。文公の死後、覇権争いから乱れ始める晋国だが、士会やその他賢臣の活躍で、勢力を回復させていく・・・。文章の書き方は硬く、中国の古典的言い回し(?)の様な難解な漢字表現が目に障った。しかし、人物描写や物語の運び方は巧みで、読者をひきつける。

 本書の主人公は晋の臣として最高の位にまで昇進した士会です。本書には士会という人物が自らを常に省みつつ高位に昇っていく姿とそこから去っていく姿が鮮烈に描かれています。本書の中で特に際立つのが去り際の美しさだと思います。主人公である士会を初めとして様々な脇役の去り際も印象的でした。宮城谷正光さんの本を読むといつも心がきれいになった気がします。おすすめです。

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