いつもいつも感心するのは、鈴木大拙さんの言葉である。<BR>昭和2年、3年の講演の記録だが、いまも命を震わせてくれる。<BR>どんなにえらい哲学者の言葉よりわかりやすく、心を打つ。<BR>それに75年前の洞察は、今も新鮮さを保つ。<BR>P100より、抜粋。<BR>「....それと同時に人間がことごとく人形になってしまった。<BR>機械になってしまった。<P>これは私は近代文明の弊害であると思う。<P>機械を使うというと、人間が機械になるのでないことはいうまでもないが、人間はまた妙にそれに使われる。使うものに使われるというのが、人間社会間の原則であるらしい。人間が機械をこしらえて、いい顔している間に、その人間が機械になってしまって、その初めにもっていた独創ということがなくなってしまう。......」<P>今の!!会はPCや携帯なしに生活できないようになってしまった。<BR>しかし、個々の人間がそれによってどれだけ独創的な生活を送っているかと云えば、疑問が残る。<BR>機械から離れなくなってしまったというのが本当のところである。<BR>「何のために機械を使っているのか」を問い直さなくてはいけない。
かなり前にかかれた本であるにもかかわらず、読んでみると新しい発見にあふれています。禅とは、日本とは、生きるとは。難しい言葉の羅列ではなく、わかりやすく論理的にかかれているのも魅力です。<BR>ともすると抽象的な概念のためあいまいな語り口にもなりかねない題材について、明確な表現がされていて、非常によかったです。<P>混迷する今の状況の中、自分を見つめるよい道しるべになるような気がします。