失踪HOLIDAYよりも「しあわせは子猫のかたち」をお勧めする!読み終わった後の気持ちのむずがゆさは私の口から言い表せない<BR>あなたが手にとって読むべきだ。(レビューになってなくてすみません)
ホラー作家とは思えないくらいのソフトな仕上がり。<BR>「しあわせは子猫のかたち」と表題作の2作。<BR>「しあわせは子猫のかたち」<BR>引越した先のアパートに3週間前に殺された前の住人の幽霊と暮らし始めたうまく生きられない主人公。<BR>子猫が二人の間を繋ぎ、不思議な生活を不思議と感じず、オカルティックでありがながら優しい気持ちに慣れる短編。<BR>「失踪HOLIDAY」<P>笑いも取りながらでなおかつミステリー。<BR>身代金誘拐事件を企てたのは、誘拐されたはずの大金持ちの一人娘、ナオ。<BR>ママハハと大喧嘩をして家出をした先は、建物内のメイド・クニコの部屋。<BR>三畳一間にコタツがひとつ。そこでのふたりの生活は何ともほのぼのしていて、笑いを誘う。<BR>なにせ、狂言誘拐なんだから読むほうものんびりしたもんだ。<P>最後のオチには想像もつかず参ったが、読み終わった時の爽快感もまたよし。
スニーカーでは現在で3冊刊行されているが最初にでたのが本作である。この中で最初の「しあわせは子猫のかたち」は好きだ。3冊の中でもこの1作は本当に好きだ。短かったのが惜しい。<P> その「しあわせは子猫のかたち」は主人公と引っ越した家に生前いた住人の幽霊との奇妙な共同生活の日々。あと、猫か。猫がいるのといないのでは完成度は全然違ってくるようにも思う。寧ろキーパーソン(人ではないが)はこの猫である。猫が好きな人なら面白く読めるし、余計にラストが切ないようにも思う。この話は最初から最後まで、優しくて安心して読ませてくれた。正直に巧い。<P> 2作目、表題作に当たる「失踪HOLIDAY」は前の話とはうってかわる。この主人公のナオに終始笑わせられる。これを読むとスニーカーか!なあという感じがとれてしまわないこともない。逆にこういう場だからこそ読める「乙一」と言ってもいいか。ミステリーとしてのプロットもいい。さあ終わるかなあと思えば、最後はちゃんとオチがついてくる。それもまた安心できる。主人公が中学生というのもそうだし、メイドのクニコの性格上、許せてしまうところがおかしい。逆に、そういう風に登場人物を描いた乙一、やはり巧い。<P> 切ないのは寧ろ最初の「しあわせは子猫のかたち」だけな気もする。「失踪HOLIDAY」は、プロットだ。ストーリーの運びが面白かった。スニーカーというのもあるし、10代の人が読むくらいに丁度いいようにも思う。