とにかく、著者の生命力には驚かされる。いや、もちろん、死んだんだけど、そういうことではない。「あるがまま」ということばは、ともすれば現状肯定に終始しかねない。だから私は、森田療法については懐疑的なのだが、この本に貫かれているのは現状肯定ではない。むしろ、強く生きるためには、環境を変えることさえも示唆されたすごい本なのだ。<P> 最初に書いたように、悲惨な状態にあってさえもなお強く、美しく(外側から見て、という行きかたではない)生きようとする著者の生き様があまりにも強烈だ。生の肯定としか呼びようがない。<BR> だから、「森田療法」という題のついている他の本とは少し(かなり?)趣が違っている。単に、療法だけをとりだしたいなら、他の本でも十分だろう。<P> だが、この本の魅力はそこに尽きないというところにある。だから、類書に求めるものを期待しても、裏切られるかもしれない、とだけは言っておく。本としての出来はなかなかだ。
200ページかそこらのこの薄い新書は、日常生活に大きな精神的負担を強いられている多くの人々に生きる勇気を与えてくれる名著である。<BR>岩井氏は、森田療法の基本理念をもとに、人生を如何に有意義に生きるかということを患者さんの具体例を交えながら解説してくれる。しかもこの本は、著者生前最後の著書であり、悩める人々への遺言であるとも言える。<P>強迫神経症や対人恐怖症などの症状に苦しんでいる人は勿論、日常生活には特に支障をきたすほどではないが、どこか自分は他人とは違うのではないかとか、本当はもっと違う生き方があるはずなのに、なんでこんなに苦しい思いをしなければならないのか、などと精神的に重荷を感じている人には絶対に読んで欲しい。読了後、一気に問題が解決するということはないにしても、著者の示唆に富む言葉から得られるものは大いにあると思う。<BR>あとがきも感動的で、この部分だけでも買って読む価値はある。
色々な心の恐怖感を「あるがまま」に受け止めることを教えてくれた。<BR> 「人として」生きる道を教えてくれた本。<BR> 心の悩みを持っている人は絶対読んでそんはないと思います。