本書は構造主義というものを題材にしていますが、筆者の解説の仕方が理系といわれる人にも読みやすいものとなっています。普段何気なく使っているモノの捉え方の一面がすっきりと整理できると思います。そして今の分野での考え方を、「考え方」の部分だけを取り出して他の分野に応用する、アナロジーを見て取るなど、整理された見かたが出来るようになるのではないでしょうか。(これが哲学というところか…)平易に解説されているため、自分の部分を混ぜて読むことができ手に取りやすい一冊だと思います。
思想っぽい本にしては、抜群に「軽く」読める。情緒的な書き方で、読者の興味を煽り立てているのが、この本を読みやすいものにしている大きな要因だろう。ノリがいいのだ。なるほどー、それはおもろい、と何度も相槌をうちながら読んだ。<P>構造主義は、近代へのアンチテーゼとして表れたので、そもそも近代を理解しないと構造主義どころではないのだが、近代という概念すらイメージをもてていないであろう思想的幼児な読者のために、その近代がいかに形成されたか、という子ども向けストーリーを、軽快なノリで面白おかしく書いてくれている心遣いがよい。子供たちに、思想のおもしろさをわかってもらおうと、一生懸命語りかける中学校の先生のような語り口だ。実際、知的な中学生なら、この本を理解できるとおもう。<BR> スタンス的には、竹田青嗣や西研と似通ったところがあり、ポストモダンやポスト構造主義に対して、懐疑的だ。本の最後に、ポストモダンやポスト構造主義なんかより、むしろもう一度「近代」してみるというのも、現代日本では、ちょうどよいタイミングなのではないか、という主旨の示唆があった。この本を通じて、構造主義の母体ともなった、近代に興味をもったひとは、西研の「ヘーゲル・大人のなり方」が読みやすくてよいだろう。また、もっと俯瞰的な視点から、思想史における構造主義の位置づけを眺めてみたいひとは、竹田青嗣の「現代思想の冒険」がおすすめである。
レヴィストロースの研究解説をメインに、ソシュールなど彼に影響を与えた人の研究、さらにその後の構造主義の動きなどをわかりやすく書いた入門書。哲学や社会学に馴染みのない人にも(そういう人にこそ!)おすすめ。<P>最後の方まで読むと、思想に関する一般的な解説や、マルクス主義との関係、さらに日本での思想事情など、なーんにも知らない僕にとって、この手の学問に興味が持てる話題が盛り沢山で良かったです。親切なブックガイドも付いているので読後も羽ばたける事間違いナシ。<P>シベリア鉄道さんがおっしゃるように20歳までに読めばよかったなあ。ギリギリ(?)間に合いませんでした。