ヨーロッパ史に大きな影響を与えた大財閥の生まれてから、現代に至るまでの歩みです。小著ながら知りたいと思うところを的確に押さえてあり、その興味深さに詰まることなくすらすらと読めてしまいました。ロスチャイルド家がどのようにして、世界史を動かすぐらいの影響力を得るようになったかはもちろんのこと、一族の歴史を語るには避けて通れない、ユダヤ人としての側面、そしてその集めた莫大な富を如何に、何に使ったか、などにも言及し、ただ淡々と年代を追って記述するだけではない、すばらしいこの本の特色であると思います。<P> ロスチャイルド家自身に興味がある方も、ユダヤ人について知りたい方も、また近、現代史、世界経済の簡単な歩みを知るためにもこの本は十分に役に立ちます。それだけ!の一族が、多くに関係して、大きな足跡を残していることを表しているのでしょう。そのエピソードを眺めていくだけでも、十分に楽しいものです。なにせ知った人名や、企業名がどんどんと出てきて、こんなところにもロスチャイルドが、と思わぬ発見をして、新鮮な驚きを得ることができるのですから。<P> それにしてもロスチャイルド家の商売のセンスには驚かされます。何をやってもこの一族がやれば有望産業になってしまうのでは?と、思わずそんな感想を抱いてしまったほどです。著者はその秘密を、「人間の本性に根差した商い」をしているおかげだとしています。本書を眺めて感じるロスチャイルド一族のエネルギーはすさまじく、その逆境を乗り越えてきた姿は今の日本人も教えられること大であろうと思います!。
イスラエル建国、ツタンカーメン発掘、ノーベル賞などロスチャイルド財閥が過去二百年の歴史と密接に関わってきたことが分かる。こうなると財閥は世界的には必要な存在なのではと思ってしまった。現在でもダイアモンドのデビアスやリプトンなど多くの会社を所有していることからもその影響力の大きさが分かる。大財閥だけにエピソードも破格。イスラエル建国のために密かに土地を買い占める話や、一族内の高級ワイン戦争などはスケールが大きい話です。日露戦争時の資金調達など日本との関係も書かれていて、他にも興味深いエピソードが沢山あります。