私はこれをシナリオ学校の教科書にしたいと思った。著者自身この本の一部をハリウッドのシナリオライティングの指導書からあからさまに引用しているが、逆に日本の映画界はストーリーの構築方法をキャラクター小説のメソッドから大いに援用するべきだと思う。エンターテインメント系のシナリオを書こうとしているシナリオライター志望者に是非読んで貰いたい。評論としての圧巻は最終章で、これには脱帽した。私? 傍系映画プロデューサーです。
この本のタイトルは『キャラクター小説の作り方』です。<BR>だから、キャラクター小説を作りたいド素人のための本であるわけです。<BR>しかし読んでみると、ちょっとド素人の僕には難しい内容でした。決して理解できないという意味ではありませんが。<BR>この本は誰に向けて書いているのかよくわかりません。<P>少なくとも僕にはド素人より第一線で活躍する作家に向けて書かれているように感じます。<BR>でもまぁ、確かに言ってることにはすごい説得力があります。だから星5つなわけです。
暇つぶしに読んだ本であるが結構ためになった。キャラクター小説の作り方は著者によれば一定の法則があれば出来不出来は別にして誰でも書くことができるというのが著者の主張である。そういう意味では、これはビジネスモデルを作るのと全く同じであることに気がつく。例えば、キャラクター小説を作る例題としてTRPGの作り方を踏襲するとよいという話が出てくるが、ここでいうTRPGのプレイヤーはアライアンスを組む企業であり、ゲームマスターはビジネスを立ち上げる起業家あるいは、インキュベーションをするプロジェクトリーダーに相当する。また、キャラクター小説で重要な世界観なるものは、まさしく市場をどう規定して儲けるのかというビジネスモデルに相当しよう。ということで、これはビジネス書やビジネスモデルを解説するビジネス本への転用ができる可能性が非常に高い。私が思うに、ビジネス書をよく読む層には少なからず、キャラクター小説のテイストを好む層がいると考えている。ありていに言うと、知的(だと思っている)ビジネスマンの中にはオタク的要素をたぶんに気質として持っている層がいるということである。最近の現象として『萌える英単語』がベストセラー入りしているとか。このアナロジーでいえば、『萌えるMBA』『萌える経営戦略』『萌えるマーケティング』『萌える会計』『萌えるオペレーション』といったシリーズが出てきてもおかしくないと思ってしまった次第。