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神聖ローマ帝国 ( 菊池 良生 )

中世ドイツを中心に中欧に広大な版図をもってはいたものの、世界史の教科書レベルの内容ではどこか掴みどころがなかった神聖ローマ帝国の成り立ちから消滅までをコンパクトにまとめた好著(実際は同帝国の名前の由来となる西ローマ帝国の滅亡時から記述されているのでもっと記述範囲は広い)。<P>ローマ法王を頂点とする教会勢力との絶え間ない確執・政争。一方で地域・都市を割拠する地方国家からなる連邦国家(もしくは分裂国家)としての成り立ち、配下の地方国家との複雑な力関係と権力委譲の経緯などなど、読みどころは満載。<P>新書ということで限られた文章に収めるため、権力闘争を中心とした記述になっており、軍事面や社会史・文化史的な観点での記述はおとされている。が、その分、内容が把握しやすい。文章もこの手の本にありがちな紋切り型の読みにくさはない。巻末やカバーには参考図書、関連図書の紹介もあり親切。

ヨーロッパ中世史のイメージを掴むにあたって、ドイツはひとつの鬼門であろう。それは国としての統一感が感じられず、また、それこそナチスの時代まであまり歴史の前面に出てくることがない印象があるからだ。ところが、そこに“神聖ローマ帝国”という補助線を引くと、政治、社会、文化など様々な面でドイツとヨーロッパの関わりが見えてくる。<P>あえて乱暴に例えるなら“西洋版三国志”か。数多くの登場人物に慣れてくる頃、あたかも良質な一編のミステリーのごとく、ページを繰るのを止めることができなくなっているだろう。<BR>この本を誰か脚本化してテレビドラマ(映画では時間が足りな過ぎる)を創ってはくれないか、と夢想する。それほどまでに面白い。

時たま、このような本に出会う。内容、価格、文章、そのすべてがバランスがとれ、読み物として完成度の高い本に。もっと値段が高かったら、物足りないと思うかもしれない。もっと専門的だったら、初心者には敬遠されてしまうかもしれない。もっと内容が濃かったら比較的軽い読み物を期待する読者の多い新書の読み手が疲れてしまう。 反対に、もっと内容が薄かったら、この捉え方の難しいテーマをうまく読者に伝えられなかったかも知れない。本書は歴史書というより、作者が自ら明らかにしているように「個人的趣味」で貫かれた 神聖ローマ帝国を巡る読み物に近い。それは作者自身のこの帝国の謎への探求であり、語りの導入からその終幕まで、読み手はこの問いかけに引き込まれ、引っ張られるのである。なんと心地よい時間であることか。読者は十分に作者の語りに酔い、あまり日本人には身近でなかった神聖ローマ帝国の世界を浮遊するのである。<BR> 価格、章立て、内容、文体、そして帯に書かれた文言まですべてが絶妙なバランスをもった完成度の高い書物と言える。読者はしばし過大になりがちな帯の文言からイメージされる通りの内容を得ることができるだろう。曰く、<P>「この国にフランスは嫉妬し、イタリアは畏怖し、ローマ教皇は、愛し、かつ憎んだ」その理由を、十分に本書に期待してよい。

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