この本は、読むに値する良い本を知的かつ積極的に読むためのの心得を述べたものです。<BR>読書には段階があり、それは初級読書、点検読書、分析読書、シントピカル読書とだんだんと高度な読み方になるということです。<BR>この本を読んで、納得したのは以下の部分です。<P>意欲的な読書のためには「読んでいるあいだに質問すること。その質問にはさらに読書を続けているあいだに、自分自身で回答するように努力すること。」という約束事を守らなければなりません。そしてその質問とは、全体として何に関する本か、何がどのように詳しく述べられているか、その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か、それにはどんな意義があるのか、という4つの質問です。<BR>最後に、この本にこの4つの質問を適用してレビューを終わりたいと思います。<BR>この本は教養書や解説書をどのように読んだらいいかという本です。<BR>読書には段階があり、ひとつひとつの段階の読み方について、どのようにして読んだらいいのかという実際の方法が述べられています。<P>この本にかかれていることは全体として真実です。(と思いました。)<BR>この本を読めば、今までよりも有意義な読書をする方法がわかります。
本を読んでその概略を発表しなければならない人、論文を書くために多くの文献を読んで内容を理解しなければならない人、そして本からより多くのものを得たいと考えている人、そうした方はぜひ本書を手にとってみるべきでしょう。<P> 本を読むには積極的な態度で望まなければならない。ではどのように積極的になればよいのか。その具体的方法が系統的に説明されている。読書技術を4つのレベルに分け、それぞれのレベルで行うべきことを詳細に示しているのだ。<P> 本書で提案されている技術は習慣的に行っている場合もあるだろうし、他書で指摘されていたりもするが、一連の技術を体系化して説明してある点で本書は非常に優れている。また、本を読んだ後どのように批評するかという点も含まれていること!、特定のテーマについてどのように情報を整理するかという「シントピカル読書」について述べられていることが、本書をさらに特徴付けているといえるだろう。<P> 非常に得るところの大きい本であり、強くお薦めしたい。
欧米には、学校教育の中で読書技術を指導する伝統がある。物語を語り聞かせて自分の言葉で語らせるところから始め、要約、分析、解釈、批判の技術などが段階的に指導され、高校生ともなれば、全ての技術を駆使して難解な哲学論文や言語学関係の論文、高度な内容の文学作品を本当の意味で「読める」ようにカリキュラムが組まれている。さらには、歴史、社会学、経済学、政治学などあらゆる教科で必要な情報分析の技術にも応用される。芸術分野ですら読書技術教育の中で培われた技術が適用されるのである。欧米各国で名称は異なるが、読書のための技術はほぼ同じである。さらに欧米の読書技術教育では、ただ「読む」だけでなく、読後に必ず作文(小論文)を科せられ、最終的に自分自身で本に向き合い、自分の考えをまとめ上げることを要求される。アドラーの「本を読む本」は、日本の国語教育の中で実施されていない欧米式の読書技術教育の本質を、非常に分かりやすく説明している。本書は、教養人の必読書にとどめるべきではなく、日本の国語教育をどのような方向へ持って行くべきかについての、有効な資料として活用すべき本である。