本書は、「机上の学問・観念の遊戯」としての「哲」学者ではなく、他人と血みどろの対話を通して哲学を実践する「哲学」者への誘いである。5年前、初めて筆者の著作に触れた瞬間の衝撃は未だに色あせない。
書店に行けば多くの哲学の概説書の類があるが、この本は哲学それ自体をするにはどうすれば良いかということが中心に書かれている。如何に、普遍性を捉え、本質を抉り出していくか、議論、言葉の重要性など、生きていくうえでの聖典的意義があるといっても過言ではない。<P>何も、この本はいかに生きるかなどという答えのない質問に答えを与えようなどという浅はかなことをすることによって、聖典的なのではない、如何に、自分で考え自分になり、生き延びるかということのヒントを提示するという意味において聖典的なのである。<P>又本書の質の高さ、内容の濃さを語る上で見逃してはならないのが、解説にかの有名な加藤尚武が登場し、同じ本の中で一種の論争を著者に向けているということである。一冊で二度!いしいというお得な本である。<P>生の全てを肯定し、「思索という地獄」を「思索のない人生は監獄である」という甘い言葉に超越させようという勇気のある諸氏にはぜひ一読していただきたい書物である。
哲学の教科書… 本書はその名にふさわしく哲学とはいかなる学問かを丁寧に解説してくれます。 生きるとは、死ぬとはどういうことか。過去と現在、未来とは…今までとは違った見方を教えてくれます。