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ヘレネー誘拐・トロイア落城 ( コルートス トリピオドーロス 松田 治 )

ギリシャ文学の魅力は力強いが、どこかに透明感がある、そんなところかもしれない。<BR>確かに、多くの悲劇詩人も喜劇詩人も出なくなった時代の作品だ。<BR>だが、気高く自らの感情に激しく、忠実に生きる、それがパトス(受苦)だ、と言わんばかりの迫力は消える事は無い。<BR>ヘレネー誘拐は特に美しい。<P>難点は、人名などの読み方が原点に忠実にしようとしすぎたところだろうか?<BR>この時代には、もうこの発音が採用されていたのか、とも楽しめる

短編ながら両書ともトロイア戦争の失われた「叙事詩圏」を補う興味深い作品です。戦争の発端になった美女ヘレネーの誘拐も、古代ギリシア・ローマ人が愛好したトロイア陥落の顛末も、胸躍る劇的な物語ですよ。<BR>文庫本でこれらの神話伝説が読めるとは喜ばしい限りです。

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