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| 百鬼夜行―陰―妖怪小説
(
京極 夏彦
)
冒頭、ある妖怪が引き合いに出され(江戸時代などの草紙モノから妖怪の図やその説明文がコピーしてあり、これはこれだけで楽しめるものです。その絵の中に「何が描いてあるか」「どうしてそれがあるのか」という判じ物でもある、とは別の京極先生の本で読みました)、その後ストーリーが語られ、読後、読者は「ああ、こういうことで、妖怪って生まれたんだ」という感想を持つに至る仕組みです。主人公はあくまで人間ですが、その人の経験、思い、それが嵩じた妄想などが「妖怪」を生むというか、妖怪に至る、というものです。ですからこの本は「妖怪小説」と表紙にありますが、妖怪そのものは何もせず、ただ、登場人物の目に映るだけです。それは「狂っていく」過程でもあるのでしょうか。この本は10編の短編集ですが、それぞれのお話や登場人物は、別の大きな小説に繋がっていたと思います。それにしても京極先生は「戦後」の混乱期がお好きですね。やはりその頃は、価値観とか社会秩序とかが解体されたり、衝突したりで、一種不思議なエネルギーとか情念とかが渦巻く時代だったからでしょうか。分厚めの本ですが、京極先生のほかの小説と同じく一気に読めます。それから京極先生の趣味で、やたら漢字が使われますので、漢字検定試験の練習にもなるかも。
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