『夏は暑い』<P>あの事件の真相が漸く明かされる。<P>四季シリーズの起承転結の承の巻。面白い。ミステリーというよりも物語に近い雰囲気がある。<P>人は誰でも何かに固執する。天才・真賀田四季であっても然り。時間の流れはすべての人に対して平等なのに、その中を泳ぐ速さは個々で違う。そして、生物にとって肉体と思考の速度の差異は、現実として我々に突きつけられた越えられない壁である。<P>天才の成長も凡人と同じであり、時間は同じに流れるのだから、四季にとっては止まっているのも同じ。この解離に対して四季が求めた答えは・・・。<P>というのが、今回のテーマだと思う。絶対に春から読まないとついていけなくなると思います。前作よりもS&MシリーズとVシリーズとのリンクが多くなってきていますが、両シリーズを知らなくても『春』から読んでいけば、問題なく読めると思います。
森作品の、特に、講談社刊の一連は、読んでいて、「あれ?もしかして私ってお利巧さん?」という自尊心をくすぐりまくってくれるところに、魅力があるのではなかろうか。<BR>そんなことをしみじみと思わせる一冊でした。<BR>パズルとも、心理ゲームとも、なぞなぞとも違う、思考ゲーム、そこにこの作品の色気を感じます。<P>なんだか作者の掌の中じゃん!って最後に思わなければ、幸せになります。<BR>内容?<BR>それはご自分で。<BR>この本だけを読んでも、脳みそが刺激されることは請け合います。<BR>装丁は「春」の方が好きですけど(^^;
何故、真賀田博士が1つ目の殺人を行うに至ったかが描かれている。ここで提示された殺人の理由は、私が今まで読んだミステリの中で、最も納得できるものだった。理由が納得できないものは白けるし気味が悪いし落ち着かない。あれは殺す以外に答えはなかったのだと納得させてもらい、殺人を扱っていたにも関わらず、読後の爽快感は素晴らしかった。