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| ノルウェイの森〈上〉
(
村上 春樹
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村上春樹の文章を読んでいると、じわじわとなにかが心に染み渡ってくる。それがなんなのかは言葉では説明できない。しかし、この人の文章を語るにおいてこれ以上の説明は必要ない気がする。<P>この『ノルウェイの森』にもまたそのなにかがある。ストーリーだけを説明されてもこれほど心に残る小説にはならなかっただろう。村上春樹の文体だからこそ、こんなにも心惹かれるものがあるのだと思う。 前々から読もうと思っていた本。文章が柔らかで読みやすいのですぐにストーリーに入っていける。<BR>頭で考えて読む本ではなく心で感じる本だと思う。思春期に読むよりもある程度出会いと別れを経験した大人になってから読んだ方がグッとくるかもしれない。心の奥底を激しく揺さぶられる。 この本を読むのは、恥ずかしいと思った。<BR> しかし、古本屋でみつけて、買った。<BR> 大学生の時だった。<BR> 何回も繰り返し読んだ。<P> その本はもう手元にない。<BR> なぜか、人生の節目のたびに、この本は私のもとにやってきては去ってゆく。<BR> そのたびに、ページを開いては、苦しくなる。<P> そんな本。<BR>
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