文学作品として名高い本書ですが、私は人生論として読み終えました。<P>下宿先で知り合う東大生の考え方は、悔しいけれど思わず納得してしまいました。<BR>・オレを恵まれていると妬む奴は、それに見合った努力をしているのか……<BR>自分の中でこのセリフがいつまでも響いています。人を羨むなら、自分もそうなりたいという努力をしているのだろうか。<P>しかし、人間はそんなに強い人ばかりではないだろう。<BR>その対称として、本書では直子やレイ子さんがいるのだと思うのです。<P>また、人には表面に見える姿だけではなく、その人が内に抱えている多くのものが存在することも語られています。<BR>それが緑だと思うのです。<BR>・本当のお金持ちは、お金がない、っていえる……<P>このセリフも、自分の中でいつも響いています。本当にお金がないなら、お金の話なんてできないだろう。<P>精一杯生きているつもりでも、自分の力だけではどうにもならないこともあります。<BR>だけど、そんなときでも必死に生きていこうとする姿がある。<BR>そのことを哀れんだり蔑んだりするのではなく、大いに賞賛しようではないか。<P>本書のラストシーンは、生きるものを応援する場面として読み終えました。
上巻と下巻を1日で読み終えてしまい、感じたのが映画を見ているような感覚。そして、本を読み終えた後の心地い気だるさと虚脱感も映画を見終わった後に感じるものと同じである。<P>私自身、恋愛諸説を読んだあとのこの虚脱感が嫌で、どちらかというと歴史小説や経済小説ばかり読んでいたが、ひょんなことから村上春樹に興味を持ちこの本を読んでみたのだが、文章そのものにリズム感があり本当にいい気持ちで本を読み終えることができた。<P>村上春樹氏のこのリズム感はジャズのリズムあるいはマラソンのリズムに近いものであるという。ぜひこの本を読んで皆さんにもこのリズムを体感してもらいたい。
読み終えて、小説の魅力と怖さ両面を感じた一冊でした。<BR>高校時代に一度読み何も感じなかったのが、25歳になり偶然読み始め<BR>この本により生と死、子供から大人の世界へと全てのモノが両極端に位置するものではない事を改めて感じさせられる一冊でした。<BR>登場人物も一人一人魅かれる一面を持ち、村上春樹にしか書けない表現も楽しませてもらいました。<P>これは、周りに薦めてみたい一冊でもありました。