米原万里さんのエッセイにはよく驚かされる。<BR>こう来るんだろうという意識せぬ予想をスカッとはずして別の急所を突いてくるんだ。<BR>この本のタイトルもそう。<BR>独身女性の気炎モノかしらん?と時間潰しに手にしたんだけれども、犬猫育児日記というか同居日記というか。<P>一度もペットを飼ったことがなく、飼うこともないだろう、動物は野生が一番と思ってきたわたしも、飼いたくなった。<BR>こんな同居人、いや同居動物と暮らしてみたくなった。<BR>笑って笑って笑って、最後は涙にくれながら読みました。感謝。
著者の家のペット騒動を綴っている内容が、かなりの現実味を持って迫ってくる上に、並々ならぬ親近感を抱かせるので、一気に読んでしまう。下手な小説などより何倍も面白い。動物を扱った内容でこれまで感心したものには、ジェイムズ・ヘリオットの著作シリーズがあったが、イギリスでの出来事でもあり、あまりにも良く出来た話の連続に、少々作り事めいた匂いを感じたことも確かだった。それに比べると、この本の持つ共感度の高いことは折り紙付きといえる。読み終わると、いま自分の飼っているペットが、数倍可愛くなること請け合いである。ぜひとも続編が読みたい。