容疑者に関わった人の章でまとめられていくというユニークな小説です。よくある警察小説ではありません。裏の扉から覗いた警察内部の様子を事件と絡めて描かれたといったほうがわかり易いかもしれません。事件がどのように解明されていっかについて重きは置かれていません。しかし警察、地検の互いの駆け引き、取引を克明にこれほど描ききったものは未だないと思いますが。<BR>事実は小説より奇なりで、本当に警察による調書のでっち上げ、事実の隠蔽、110番通報のテープ不存在など枚挙に暇がありません。<BR> ネイビーファイルというアメリカの海軍を描いたあの明るさは日本の警察には皆無です。本質はやはり暗さでしょうね。<BR>ますます国民の生命と財産は守ることとは遠くなるのは仕方ないことでしょう!!!?
本を一気に読んだのは久しぶり。 <BR>実は著者の作品を読むのは初めてで、このミス03年度版で<BR>知った程度のミステリーアマチュアですが、これは周りの<BR>人にも一読を勧めたくなる本です。<BR>たまたま僕の周囲に警察、検察、弁護士関係者がいるもので<BR>それなりにリアリティがあるなぁと感心しちゃいました。
アルツハイマーの妻を扼殺した警官…<P>私にはこの題材が心に重く押し寄せました。壊れていく自分に対する恐怖を感じ、殺してくれと懇願されたとき、人間は、いや、自分はどう対処するのだろうか。また、妻を愛するが故に扼殺という重い罪を犯してしまったこの警官に対して、真実の裏にある真実はどう明かされていくのか。そんなことを考えながら一気に読み終えてしまいました。電車の中で読むのはオススメしません。不意に涙がこぼれるので。<BR>人間の奥底にあるピンッと張り詰めている小さな"何か"を最後の最後まで考えさせられる、オススメの1冊です。