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たまたま地上にぼくは生まれた ( 中島 義道 )

読んで行けば勇気をもらえる部分もありました、が、非常に落ち込む部分もありました。途中で読み進められなくなったりして、別の作家を読んで、元気もらって、また読み返したり…。なんか正反対の薬を時間差で飲んでいるようでもありました。でも、時々はここへ来て見つめ直すことも必要でしょう。 あまりにも奥深く、凡人には到底覗くことのできないような深海からの海流に少し触れたような気がします。

 この本を読んではじめすごく不愉快になった。わたしがずっと自分を含めた世界について感じていたことで、何で他の人達はこのことに気づかないんだろう、って思ってたことが、ほっとんど書いてあったから。しかもわかりやすく(まぁ講演集だからってのもあるけど)。そしてわたしより百歩くらい先を中島義道は歩いていた。だから何だか悔しかった。<P> でも読んだことによって、様々なこと(自分の無知・浅はかさ、世の中の救いようのなさを含む)がわかって、読む前の段階から確実に一歩進めたのはとても嬉しかった。そしてその喜びははじめの不愉快さを大きく上回った。<BR> こういう本当のことを書いている本は貴重だと思う。たとえ直視したくない内容であっても。

誰もがわかっている筈の理不尽さ、そしてそれを真正面から問題提起してしまう身もふたも無さが中島義道の著書における特徴である。たとえば「どうせ死んでしまう」ということについて、愚直なまでに徹底的に考えぬき、戦いぬいている兵士の戦場報告書として読むことができる。<BR>宮代真司との対談も興味深く読めた。<BR>過去の講演や対談を採録した本書は、これから中島義道を読もうという人にもお薦めできる。ただし、救いや癒しを求める本ではないと思う。

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