フライ,ダディ,フライ みんなこんな本を読んできた フライ,ダディ,フライ
 
 
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フライ,ダディ,フライ ( 金城 一紀 )

文句無く笑って泣いて厳かとも言える清清しさを与えてくれる作品!<BR>そもそも字数も少なくとても読み安いのだが、そんなこと以上に<BR>こんなにピュアな高揚感に包まれながら一気に読破したのは本当に久方ぶり。<P>読み始めは何だかイライラとさせられるんだが、その後のおやじな主人公の<BR>変貌っぷりとかなりなステキに小粋な奴等とのなんとも言えない絡み具合!<P>心憎いばかりのセリフまわしとぐいぐい引き込むストーリー展開は<BR>さすが金城一紀氏!<BR>ひとつ難を言えばもっと続きが読みたかった!<P>とにもかくにも面白い!の一言につきる!<BR>ちょっとめげて気落ち気味のあなたっ!ぜひ読んでみてください。<BR>忘れかけてた熱いものが喉のあたりにグッと込み上げてくること間違いなしですぜぇ!

少なくとも、読書という行為が鈍重なものという概念を打ち破る作品。<BR>限りなく少ない文字数で表現される金城の世界。<BR>紡ぎ上げられた言葉一つ一つが映像となって脳を直撃する。<BR>軽快に、ストレートに、<BR>さらりと脳内に顕在化するイメージ群の攻勢が心地よい。<BR>「言葉」という最古の圧縮技術によって詰められた、<P>容れものとしての本は決して厚いものではないが、<BR>脳内で解凍されたイメージは<BR>脳がオーバーフローをおこしてしまうほど大きい。<BR>読後感、というよりは、映画を観終わった後のような、<BR>強烈な既視感に見舞われる。<BR>純文学とエンターテイメントの境界が曖昧になりつつある現代において、<BR>また、子供の読書離れが問題となってしまっている現代において、<P>こういった、純粋!!そして簡単に、<BR>「爽快感」を味わえる作品が求められていることは間違いない。<BR>補足になるが、前作「レヴォリューションNo.3」と<BR>登場人物がリンクしていることによって、<BR>この作品世界の奥行きが一層深められている。

今まで自分の人生に何の疑問も持たず、ただ愛する家族のために働いてきた冴えないサラリーマンの主人公。しかし、娘が高校生のボクシングチャンピオンに暴行を受けたことから今までの平凡で幸せな生活が一変する。傷つけられた娘を前に言葉すらかけてやれない主人公が、復讐を誓い、「落ちこぼれ高校生」と呼ばれた奇妙で素敵な「奴ら」の下でスペシャルレッスンを開始した、目的は一つ。大切なものを守るために、「奴ら」のために、自分ために。<P>台詞がとても生き生きしている。「愛する」とはどういうことなのか、守ってやるとはどういうことなのか、経済的な意味ではなく、ハートの問題。見ようとしなければ、その存在にも気付かない。いろいろ考えさせてくれるのに、読んでいる間は感じさせてくれる本である。理屈ではなく、彼の体当たりな改造計画が読書に「勇気」を与えるのであった。

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フライ,ダディ,フライ&nbsp;&nbsp;&nbsp;在日コリアンである「僕」の青春をポップな筆致でつづった直木賞受賞作『GO』以来、3年ぶりとなる金城一紀の長編小説。連作短編集『レヴォリューションNo.3』に登場したオチコボレ高校生集団「ザ・ゾンビーズ」が再び活躍する青春小説であるが、今回の主人公は高校生ではなく40代後半の平凡な中年男。家族の崩壊を必死に食いとめようともがく父親が、高校生の助けを借りながら目標に向かって邁進(まいしん)する姿を、軽妙なタッチで描いている。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;鈴木一(はじめ)は、大手家電メーカーの子会社で経理部長をつとめるサラリーマン。学生時代に知りあった妻と、17歳になるひとり娘が唯一の自慢である。ある日、そんな鈴木のもとに、娘が何者かに殴られ入院したという知らせが入る。娘を殴った相手は、ボクシングの高校生チャンピオンで、学校では品行方正で通っているという石原。復讐を決意した鈴木は、包丁を手に石原の通う高校を目指すが…。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;沖縄出身でアメリカ人とのハーフの板良敷(いたらしき)、4か国分のDNAを持つアギー、ケンカ名人の朴舜臣(パク・スンシン)。差別や偏見の中でタフに生きる若者たちと平凡なサラリーマンとの対比の背後には、日本という国の歪みが見え隠れする。舜臣との奇妙な師弟関係を通じて、「彼の中の憎しみは、私が見て見ぬ振りをしているあいだに育っていったものなんだ」と悟る鈴木の姿が印象的である。ともすれば重くなりがちなテーマを、コミックを読ませるような感覚で、さらりと爽快に描ききってしまう金城の持ち味が、いかんなく発揮された作品である。(中島正敏)
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