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マイヨール、イルカと海へ還る ( ピエール・マイヨール 岡田 好江 )

グランブルーに描かれたジャックマイヨールをイメージすると、本作で実兄により生々しく描かれた人間・ジャックは遠くかけはなれていて驚いてしまうかもしれません。<P>帯には「自死の真相」なんてスキャンダラスな文字が踊っていますが、本作は自殺の原因を探るドキュメントではなく、映画グランブルーでは描かれなかった生身のジャックマイヨールを知る素晴らしい資料になります。映画によって作られたイメージに生涯苦しんだジャックにかわって、知られることのなかったジャックの本当の姿を描きだした本作。世間に向けたジャックの遺書を、兄が代筆したようにも感じられます。<BR>映画内のシャイで謙虚で純粋なジャックを思い浮かべると意外の壁にぶち当たりますが、意欲的で行動派でプライドの高い、兄から見た弟ジャックもやはり素晴らしい人間だと改めて感じることができました。

一歩間違えれば死ぬことにもなりかねない状況で、ストイックに素潜りの記録を更新し続けていた鉄人というようなイメージをジャック・マイヨールに対して持っていたので、彼の自殺のニュースを聞いたときは本当に驚きました。そしてなぜ「自殺」という言葉から一番遠いところにいる彼が自殺に追い込まれたのか知りたいと常に思っていたので、書店でこの本を見つけたときは迷わず買いました。<BR> そしてジャック・マイヨールの実の兄よって書かれたこの本を読んで、少しは自殺の理由がわかった気がしました。兄にしか見せない、映画「グラン・ブルー」で作られたイメージと現実のギャップや老いていくことや人間関係などに悩む、弱い面をさらけ出したジャックマイヨールの本当の姿が感じられます。<P> 表向きはどんなに強そうに見えても、悩みのない人なんていないんだという当然のことをあらためて考えさせられました。

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