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| 英国オックスフォードで学ぶということ―今もなお豊かに時が積もる街
(
小川 百合
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■画家であり、図書館を専門に描く著者のデビュー。しかし、まったくそうは思えない。とにかく文体が屹立している。クリアでかつ詩的な文体。この中でも引用されている、故須賀敦子さんとはまた少し違う。もっと「ざっくり」とした表現。自分を小さくみなし、自信なさげに書いているところは須賀さんと共通しているかもしれない。■オックスフォード大学へフェローの資格で文化庁から派遣された著者。当地の気候、教授や学生たちの行動や階級社会を丹念に描くことによって、オックスフォード大における学問とはどんなものか、学問をどのようにみなされているのかが、クリアに書かれている。■アメリカの大学のそれとは大きく違うオックスフォード。著者がハワイ大学を出ていることもその差異を気付かせるのに役立っているようだ。また著者の内面を隠さずに書くことで、著者への興味も湧く。■またオックスフォードを通じて、「英国文化」への根源への接近にもなってる。博識さがいやみなく披露される。著者がユーモアにあふれた人だからだろう。食事に関する記載がもっとも多い。■内容もさることながら、文体がここまで確立されているので、読むことそのものが愉しい。アイザイア・バーリンをイザイア・ベルリンと書くなど、何箇所か誤記があるがこれは編集者の責とすべきだろう。■オックスフォード大学関係の類書のなかでもひときわすぐれているのではないか。それは著者の独自の視点を徹底させているからだろう。なんらかの賞にふさわしい本。真にすぐれたエッセー。
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