――夏至。泰麒にとってこの言葉は、とても重要なことを意味した。<BR>10年間蓬莱で過ごした泰麒は、まだこちらのことで分からないことが多い。<P>こちらでは国主を麒麟という生き物が選ぶ。戴国の王は戴の麒麟――泰麒が選ぶのだ。――夏至は、戴国の自らが王だと思う者、王じゃないかと皆に奨められた者が、泰麒の選定を受けるために、蓬山へ昇山してくる日なのだ・・・――。
前編に続き、現代に人間として生きていた小さな男の子が別世界へ移り、一国を背負う麒麟へと成長していく過程のお話です。周りの人々の愛を一心に受けながらもそれに応えるために必死に自分へ問い掛けていく。。。<BR>そして、現代への孤独への寂しさに耐えながらも、大切な人に自分の想いを応えてほしくて過ちを犯してまう。。<P>無理なく進む展開がさらなる物語りの中へと引き込ませてくれます。
麒麟とは孤独なもの。 自分の居場所がみつからないまま、少年は孤独を味わう。<P>こちらの世界でも、あちらの世界でも、優れているにせよ、劣っているにせよ、それは「皆と違う」からだ。<P>ここには、他人と違うことを受け入れざるを得ない少年の困惑と哀しみが詰まっている。<P>胸が痛くなる。