小野不由美さんがブレーク。2002年の多額納税者作家の10位。不思議なことにこの年出版された小説はゼロ(屍鬼の文庫版が出てはいるが)。作家の収入がその年に出版された小説だけでないことは承知しているつもりだけれど。コミック化、アニメ化、CD、DVDと賑やかだけど本好きの私には寂しい限り。十二国記の続きは屍鬼クラスの大作のための充電期間と勝手に解釈していますが。<BR>本題に戻りましょう。この作品がシリーズ最高の傑作です。まだ読んでいない人は順番に読んで是非ここまで進んでください。
これまでファンタジーを疎んできましたが、「十二国記」を読んで考えを改めました。<BR>全体に「十二国記」はメッセージが分かりやすく書かれていて、鈍感な私には助かるのですが、今回は、生まれてきたことの責任や、天意と自由意志などの深いテーマが、うまく物語に組み込まれていて、自分と照らし合わせ気付かされることが多かったです。<P>最後の陽子の初勅は見物。肉体としての最低限の必要性を越え、人間としての尊厳を謳ったのはさすが。<P>「東の海神・・・」は番外編と言われますが、私は「月の影・・・」と「東の海神・・・」の後にこれを読むと、初勅にこめられたテーマやそれぞれの王の思いの発展がわかり、よりおもしろいと思います。
見た目の年頃は同じ、しかし生きてきた年数も境遇も全く違う少女3人が、出会い成長していく物語の前編です。3人とも十二国に暮らしながら、国のことは、ほとんど知らないに等しく、その歩みと共に十二国の理が明らかになってくるので、3人の一緒に自分も十二国に詳しくなる楽しみがあります。<P> 3人のありようは、共感や悲嘆・反発を感じ、時には叱り飛ばしたくなるような気分にさせられますが、どんどん読み進まずにはいられない展開です。楽俊が、相変わらず良い味だしてます。