読んでてぞくぞくしました。<BR>人の気持ちがわからない。<BR>当たり前のことだけど、場合によってはそのことが恐怖にもなる。<BR>何かを信じるのが難しいのは、きっとこのせいなんだろうなあ、と思いました。<P>わたしとしては図南の翼に次いでこのタイトルが好きです(上下巻あわせて)。絶対読む価値アリだと思います。
上下巻まとめてレビュー<P>けっこう怖いお話です。著者の本領であるホラー要素が織り込まれている。本作ではシリーズを通じた二つの大きな謎に迫ります。すなわち、載国で起きた変異と世界の謎。いずれも不気味かつ不可解に描かれており、読んでいて背筋が寒くなるのを覚えます。また、暗く陰鬱な物語でもあります。これはシリーズを通していえることではありますが。<P>一方、前作を経て信頼できる腹心を得た陽子を眺めるのは楽しい。彼女は臆することなく、自分の頭で考え、自分の道を逝こうとする。誰よりも純粋な彼女は、世界の不条理に挑戦し、不可視の流れにあらがい、そして変えていくことができる。そんな物語の重要なキーファクターにまで成長しています。しかし、そんな彼女にも魔の手が・・。
拓峰諸々の乱を鎮圧し、大掛かりな官吏の移動を行った陽子。遠甫や浩瀚という頼もしい太師と冢宰がおり、少なくとも以前よりは、政務の滞りが少なくなったろう。<BR>そんなころ、突如として翼の生えた犬――天馬に乗って現れた瑞州師将軍を名のる女、劉李斎。妖魔の巣窟戴国から、この金波宮まで妖魔と戦いながら飛んで来たという。<P>景王に李斎は、悲痛な叫びを上げた。どうか戴を、戴を救ってほしい、と。