~新書でコンパクトに纏められている割に、得られる情報量は非常に多いです。<BR>日本人の間違いやすいポイントが非常に簡潔に纏められています。<BR>何度か読み返したのですが、ずっと手元においてあります。<BR>まだ論文初心者なので、<BR>英語で論文を書く際、日本語だといえる言葉がなかなか書けないのは当たり前のようにたくさん出てくるのですが、<BR>~~<BR>そういうときに最初にこれで目次か索引で何となく似た表現の載っていそうなところを探して参考にしています。<BR>そういう使い方でも十分役に立っていると思います。~
例題を解きながら、日本人のおかし易い間違いを解説していく本です。<P>「~したところ…した」「観察された、思われた、かもしれない」など論文特有の言い回しや、比較の表現、単複の一致、時制の一致、否定は文のなるべく前のほうで示す、などの解説は非常にためになります。<P>が・・・、ご存知のように一口に「理系」といっても広いです。いちおう「理系」のはしくれの私ですが、取り上げられているトピックがほとんど専門外で、内容の理解できる例文は1%以下でした。内容がわからなくても構文を作ってみよう(むしろそれが筆者のねらい?)としましたが、かなりのストレスです。私は途中であきらめ、和文(問題文)と解説だけ読みました。<P>「(例題)ディラックの理論から、点粒子として扱われた運動方程式が導かれた」<BR>「(例題)引き抜かれたウィスカーとマトリックスの穴がかなりの量観察されたことから、この機構が効果的かもしれないことが示唆される」<BR>など。<P>上記が理解できる分野の方には、実用的な表現例集としても使えるかもしれません。<P>他のアドバイスとしては、初めの1~3章(冠詞について)は最後に読んだほうがいいです。<P>「無冠詞の用法をまとめると以下の様になる。読み手から見た場合に不特定の複数の[C]あるいは非限定の[U]である、と書き手が考えている場合の[C]あるいは[U]に用いる。」<P>・・・。この後を読む気がなくなります。筆者の日本語は英文和訳のように感じます。<P>ただ、この手の本としては手頃な値段だし、小さくて持ち歩けるのでいいです。<BR>全体としては読む価値ありと思います。
この本は,理系和文論文に良く使われる一文を,文法的に間違いの無い英文一文に書き換えることに専念した本です.この本が役に立つのは,論文を書いていてちょっと表現に窮した時,でしょうか.TOEIC600点未満で文法知識が不足している理由で論文が書けない方にも役に立つかもしれません.<BR> しかしながら,日本人の書く論文が理解されないのは,和文英訳が下手なせいでは無い場合が多いので,この本を読んで論文を書けるようになる人は非常に少ないでしょう.<BR> 理工系4年,大学院生になれば,一度くらいは英語論文の逐語訳を作成したことがあると思います.元の英文を隠して出来上がった日本語の文章を読むと,その逐語訳が正確であればあるほど,日本語論文としては何を言いたいのか解らない奇妙な論文になっていることに気づくはずです.この事実は,英語論文を書くときには,逆に,この意味で日本語論文としては何を言いたいのか解らない文章を書かなくてはならないこと,を意味します.このことが,英語論文を書けない最大の理由と考える,学生,研究者にはこの本は全く不向きです.