これは熱の本ではない。第2章でサイクルの話があるが,分量も少ないし<BR>蛇足ですらある。確かにこの章があることで一応,熱の本と言えなくもないが,<BR>この本の真髄は第3章である。面白い!<P>エントロピという概念は抽象的である。いまいち何故必要なのか分からない。<BR>実際,私は熱流体関係の技術者をやっているが,エントロピはそんな主役ではなかった。<P>しかし,この本ではどうだ!見事に主役の座を演じ,ブラックホール,超ひも理論<BR>といった最先端の話題まで見せてくれる。すべての人に勧めます。<P>なお,読むときは章毎に一気に読みましょう。どうも伏線を張るのがお好き<BR>な著者のようで,ちびちび読んでいくとむしろ理解し難い感があります。
熱力学の基礎からブラックホールのエントロピーや熱力学と超ヒモ理論の関係、ホーキンズの熱力学に関する理論の解説。<BR>熱力学を、全然しらなかったためか、正直難しかったです。やさしく、分かりやすく書かれているため、「わかったような気」にはなりました。が、読み終わった後、どれだけ頭に残ったかは???です。<P>熱力学を少しでも知っていたら、オモシロイ本なんだろうなぁと思います。
熱学の普通の教科書を読むと、注射器みたいな模型の話に終始して何の役に立つのかも自覚できないうちに計算の仕方だけわかって終わるのではなかろうか?それは熱学が極度に普遍的な学問だから仕方の無いことなのかもしれないが、それにしても、使って計算はできるが意味も仕掛けも分からない、windowsの末端ユーザーのような状態にみんななってしまうのは非常に悲しいことである。そんな状況に一石を投じる書物として本作を推挙したい。計算の本ではなく、意味を語る本として本書の試みは成功していると思う。著者自身本書執筆にあたって単なるユーザーに過ぎなかった自身を認識し、熱学を一から考え直したらしく、そういう点で著者と一緒に学べる本といえる。<P>逆に言えば、この本は「著者の理解した熱学」を語っている本であってひとつの見方に過ぎない。この本で熱への新たな興味を持ったなら、より本格的な教科書をいろいろと参照されることをお薦めする。<P>いうなれば本書は「とっかかり」であり、はじめの一歩なのだ。