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みんなの秘密 ( 林 真理子 )

現代に生きる人々の秘密を覗いているような感覚になる一冊。しかも短編なのですが、初回の話の脇役が次の話には主役になるというとても面白い仕掛けになっていて、「次はどんな?」っていう好奇心が抑えられなくなってしまう。人間って好奇心の塊なんだなって実感。

この本は12の短編で構成されている。<BR>1話目を読みながら、ここに登場している主人公の女性が、自分の友人の中の1人にとっても似ていることに気付いた。<BR>「私の友人もひょっとしてこの主人公のように浮気なんかしていたりして…」<BR>などと勝手な想像が膨らんでいく。<P>1話目を読み終えたところで「このお話の続きがあったらいいのに」と思いながら2話目へと目を移すと冒頭に1話目の主人公の夫の名前が出てきた。<BR>今度は夫が主人公になり視点を変え、方向を変えてストーリーが展開していく。<BR>1話目は2話目にリンクして、2話目は3話目にリンクして、3話目は4話目に…<P>という訳で、1話目を読むと最終話まで自動的に読み進んでいってしまうという「しくみ」になっています。<BR>それはまるで秘密の扉を次から次へと、ずっと奥の扉まで、1つずつ開いていくっていう感じでした。

率直な感想は、本当に最後まで一気に読んでしまうような面白い<BR>作品であったということでしょう。<P>いくつもの作品が、男性的な視線であったり、女性的な視点であった<BR>り、この作家は本当に女性1人だあるのかと思わせる程のリアルな<BR>作品で、吉川賞も頷ける。<P>作品の中の「 従姉〇し」は思わずゾットする作品でした。<P>できれば自分はこんな秘密とは無縁でいたいと思いました。

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