いわゆる"ファースト"と呼ばれるTV放送「機動戦士ガンダム」が、いかにして生み出されたか? のプロジェクトX風ドキュメントと言う表現が一番近いと思う。製作スタッフのうち主要な8人へのインタビューによって、本の80%以上が成り立っている。その中でも安彦、松崎、中村、大河原各氏のインタビューは、特に読み応えがあると言える。各インタビューを読むにつれ、当時の富野監督の基本構想がいかに素晴らしかったかが理解できる。<P> また、所々に企画段階のデザイン画、企画書が盛り込まれており若干ではあるが資料的な意味合いも持つ。特に「ガンダムの変わったもの変わらぬもの(数段階のガンダム原型企画書)」と、巻末のG-WORD(ガンダム者関連用語集。36ページ)は他の資料を所持しない人にとってはある意味貴重。<P> ファースト以来20年以上にわたり後継シリーズや派生商品を生み続ける「ガンダム」が生み出された経緯は、今でも十分に参考となると思われる。モノ作りとはいかなるものか?をガンダムをネタにしてまとめた本と言える。<P> モビルスーツの設定資料的なものを期待する向きには不要かも知れない。しかし、ガンダムの中でもファーストだけが持つ圧倒的な迫力の源を知るには、この本を当たるほか無い。
これは単なるガンダムの解説本ではないのです。ファースト・ガンダムが、子供向けアニメとは違う思いで作られたのにどういう意味があったのか、作り手たちがどんなに試行錯誤していったかが、本人たちから直接聞き続けた書。その当時の熱さが、伝わってきます。<P>それとともに、20年以上も人気を保ち続ける作品というのは、天才たちが作り手に存在していたことだけでなく、その天才たちを同じ思いに向けて動かしていったことが重要だということもわかる貴重な本です。
はっきり言ってかなりいい。(星4.5)。<P>第一作ガンダムのメイン製作スタッフ9人のインタビュー。<BR>「ガンダム」だけに特化したインタビューではなく、各人の出自、キャリア、<BR>思想、哲学。そしてガンダムとどう携わり、どう評価しているか、というインタビュー集である。<BR>従って、随所にアニメ製作会社、宮崎駿、ヤマトの製作などが出てくる。<P>読者の立場によっていろんな読み方ができる本。<BR>製造業で商品開発に携わる私にとって、<P>・なぜ20年以上も続くガンダムという「ロングセラーブランド」<BR> ができたのか?<BR>・クリエイティブとは何か?<BR>・組織としてクリエイティブをどう発揮すればよいのか?<P>という観点で読んだが、たくさんの示唆があった。<P>アニメ製作の過程やプロセスに全!!知識のない私でも十分理解できる説明<BR>も多い。<P>結局、ガンダムの背景には、<BR>①コンセプトの重要性<BR>②「ビジネスにする」という冷徹な戦略<BR>③それをささえる「クールなプロ」の存在<BR>があったように思う。必然と幸せな偶然が必要ということだろう。<P>それにしても20年以上たってこんな本が出るとは。<P>ガンダムの商品として、ブランドとしての凄みを改めて感じた。