いままで私が読んだ「マリア様がみてる」シリーズの中で一番面白かったのが本作。紅薔薇姉妹・祥子さまと裕巳さんが苦難を乗り越え、より一層絆を深く、強いものにしてゆく過程に非常に心を打たれる。<BR> 今回読んで気になったことがある。それは「祥子さまの中の祐巳さんの大きさ」だ。<P> 第一作を思い返してみると、祥子さまにとっての祐巳さんは「シンデレラ役を降りるための口実」であった。結局、祥子さまは賭けに敗けた。祐巳さんを妹にする事が出来なかったのだ。<BR> 裕巳さんはそこでもう祥子さまとの関係は終わると思っていた。賭けが終わった以上、祥子さまが自分を妹にする必要はなくなった、と。<P> しかし祥子さまは裕巳さんを妹に指名した。祐巳さんとふれあった短い間に、もっとこの子と親密になりたい、この子のことをもっと知りたいと思うようになったからであろう。そしてそこから多くの時間を二人は共有してきた。そうしてゆく中で、いつしか二人はお互いにかけがえのない存在になっていった。<P> 本作を読むと、祥子さまの中での裕巳さんの存在がどれほど大きいものになったのか、それがよく分かるのだ。彼女が心の底から求める存在は他の誰でもない、「福沢祐巳」なのである。ひょっとしたら、裕巳さんが祥子さまを想う以上に、祥子さまは祐巳さんを想っているのかもしれない。<BR> <BR> 長々と書いてしまったが、最後に佐藤聖さまに一言<P>「祐巳さんを飼い慣らせるのは、祥子さま以外におりませんぜ!」<BR>
他のレヴューの方が、男性だったようですが、僕もです(笑)。案外ファンが多いのかもしれませんねぇ。でも買うのはやっぱり勇気いりますよねぇ~、男性ファンとしては(笑)。最初は、売れているというので何気なく手にとったのですが、全巻かって一気に読んでいるので、いまではかなりヘビーなファンですよね。<P>ところで、ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン福沢祐巳ちゃんってかわいいですよね!(笑)。天然なナチュラルところが。たぶん同性の目から見ても間違いなくかわいいと思います。僕は、カステラをもらったアライグマが、水で洗っているうちにカステラがなくなってしまって、それが理解できないで戸惑う姿が、いつも思い出されてしかたがないんです(笑)。<P>憧れの紅薔薇さまこと祥子お姉さまと妹祐巳の仲たがいから仲直りまでのお話。マンガ『めぞん一刻』なんかでの代表的な黄金パターン勘違いによる拗れと、思い込みによって自分を追い詰めていってしまう二人の姿は、みていてせつなかったなぁ。作者にしてやられているのは分かるんだけど(笑)。でも、『レイニーブルー』で、自分の自信のなさのせいで、勘違いして、大切な人への信頼が保てなくて、自分の精神的に追い詰めてドゲトゲしくなっていく祐巳が、おじいちゃんの傘の件で、立ち直りっていくさまは、感情移入しているだけに感動した。こういうのを『強い』というんだと思う。単純そうな心の動きだが、大人になっても、自信のない自分をふりきって外に目を向けることが出来るのは、生半可では出来ないことだと思います。とりわけ、祐巳の姿勢が変わることで、憎憎しげな松平瞳子ちゃん(縦ロール??って??)が、すごくかわいくいじらしくみえてきてしまうから、自分の姿勢一つで、世界が変わるんだなぁと妙に感動してしまった。
私は男子高校生です。<BR>多くの友人に勧められて読みました。<BR>最初は少女小説というものに少し抵抗を感じていましたが、これは素直にいい作品だと思いました。<BR>笑えるところもあり、へこむところもありとバランスがよくとれている。<BR>とりあえず男の子も読める内容ですし、男子諸君、手に取ってみてはいかがでしょう?(笑)