痛烈にアメリカの、そして日本の偽善性を批判した本。この本の評価は、国際政治を利益追求の産物と考えるか、理念の実現と考えるかで変わってくると思います。
読者に訴えかけるような文章で、具体的な人物や事件を挙げて、<BR>チョムスキーの考え、民主主義の真実を語っている。<P>メディアの流す情報に反する著者の意見をきちんと理解するには、<BR>それ相応の知識が要求される。正直なところ、初めて知ったこと<BR>が多くてショックを受けた。正しいか間違っているのかの判断は<BR>現時点ではできないが、こういう意見もあるというのは知った方<BR>がいいと思った。正しい事実を知るためにもっと情報を欲したく<BR>なる本である。<P>また、特に後半からの辺見氏とのインタビューが面白い。1年以<BR>上前に書かれたものにかかわらず、イラク戦争が起こること、ま<BR>た戦争後のイラク新政権がどのようなものになるかなどを語って<BR>いるが、イラク戦争のみならず、イラク戦後!の政権についても、著<BR>者の言う通りになりそうな気配である。アメリカによる「宇宙の<BR>軍国化」や、他人事のようにインタビューしている辺見氏(日本<BR>人)への問題提起など、知識人にもかかわらず、こうも堂々と一般<BR>常識に反する事を書いてのけるチョムスキーはすごいと思いま<BR>した。
高名な知識人であるノームチョムスキーが自国(アメリカ)の政策を通して現代の西側における民主主義を自身の視点で語っている。<BR>著書に出てくる事柄はアメリカ主体のもので、アメリカの民主主義の矛盾を暴いているが、日本も同様の政治体制を採用している点からすれば人事ではない。<P>本の後半に収められている対談での締めくくりに彼の放った一言が心に残った。<BR>「他人の犯罪に目をつけるのはたやすい。東京にいてアメリカ人はなんてひどいことするんだといっているのは簡単です。日本の人たちが今しなければならないのは、東京を見ること、鏡を覗いてみることです。そうなるとそれほど安閑としてはいられないのではないですか」<P>150ページ程度の薄い本だが、その内容を理解すれば、大きな価値になる。<BR>もっとたくさんの事実を求めて色々な本を読みたくなるのではないだろうか。<BR>彼の狙いはそこかもしれないと思った。<BR>読み終えて、自分自身を振り返ったとき、自分は偽善者の仲間でないと言える人はいるだろうか?