女子割礼についてのドキュメントはそれほど多くありません。私もそれについてあまり理解していませんでした。著者が大学の先輩であることをきっかけに購入に至りましたが、内容は予想以上に充実していました。<P> 第一章の性器切除に関する記述は、自分がアフリカ人女性であったらと思うとぞっとします。とてもこんな痛みには耐えられないでしょう。ただ、こんな痛いことは辞めてしまえ!という視点ではなく、何故このような儀式が続いているのか、それを歴史的、地理的、文化的背景を入念に取材し、どうすればこの長く長く続けられてきた儀式を廃絶に向かわせることが出来るかということを、冷静に指摘されています。<BR> アフリカ人女性の本当の幸福を願い、ぜひ多くの人に呼んでいただきたい本です。
女子割礼のことを何も知らずに読むと、正直びびると思います。そして、こんなの嘘だろ?と思うと思います。<P>嘘じゃないんです。<BR>本当なんです。<P>CNNやNHKなんかで観ていて、なんとなくは認識していたんだけど、新ためて「女子割礼とは?」というのを目の当たりにされると、、本当に厳しい以外のなにものでもありません。。。<BR>泣けてきます。<P>この本で特に評価できるのは、実際に割礼を経験した女性の生の声が多数収録されていることです。<BR>どのような行為なのか、それにまつわる問題にどのようなものがあるのか、なんてことはちょっと調べればぼろぼろ出てきます。<P>でも、これだけ経験した女性が多いにもかかわらず、経験した生の声というのは本当に無いんです。<P>隠すべきことという認識が強すぎ!ことが原因でしょうか。<BR>もっと声をあげるべきです。<P>そして、写真が実に多いです。<BR>割礼を経験した少女の、着飾りつつも笑顔はなく、どこかうつろな目。<BR>額に浮かんだ異常な汗の粒。<BR>その写真はとても生々しく現実だと私に訴えているし、その写真を添えられた文章はより生々しく感じられます。<P>これは「傷害罪」ですよ。。。<BR>宗教的何チャラとか、結婚のため何チャラ、なんてことは一切無視して、「傷害罪です」って国かなんか強制力を持った人が、言っちゃうべきですよ。<P>そしたら案外すんなりなくなるような気がするんだけどなあ。。。。<P>とにかく、日本人が日本語で女子割礼をしかも新書で取り上げたことは、この国での問題意識の啓発にとても貢献していると思います。<P>男も女も読むべきで!。
FGM(female genital mutilation・女子性器切除)については、学会なんかで聞きかじって、なんとなく分かった気になっていたが、この本を読み、全然何も知らなかったことに気がつく。<P>この本は、FGMの種類、行われる理由、現状、最近の撤廃運動の様子を詳細かつバランスよく記した、示唆に富む良書であった。<P>感想としては、FGMは、遠いアフリカの野蛮な慣習に見えて、それを支える男性的価値観は実は日本にもおんなじものがあるのではと思った。