およそ7億年前に地球表面が全面的に凍結したのではないかという「全球凍結仮説」について検証していくのだが、そのアプローチが多彩でおもしろい。そして、この仮説が地質学、気候学、地球化学から生物進化まで、様々な学問分野の研究でクローズアップされた幾つもの謎を統一的に説明することができることを示しており、仮説そのものにも魅力を感じた。また、本書では触れていないのだが、固体地球が主役を演じるような長い時間スケールで環境というものを考えてみると、現在問題になっている地球温暖化などに対するものの見方が変わると思う。
僕たちが高校生のころ,大陸移動説を実証したプレートテクトニクスは当時最新の地球物理学だった.それを応用した小松左京の「日本沈没」がちょうどベストセラーになったりもした.東大理学部の竹内均教授のわかりやすい解説本を何度も読んでは,大陸移動説という「仮説」がどのように実証されて「プレートテクトニクス」という「事実」に進化したかに感動したものである.<P>本書はその感動をもう一度味わえると期待して読み始めたのだが,実証はまだまだ道半ばということがすぐにわかる.仮説に対する様々な反論や反対仮説の提案,古い地層の分析による実証,これらのプロセスが現在進行形で語られている.地球全体が凍りついていた時代があったという驚くべき仮説は大変魅力的で,その実証研究を始めた衊??者のワクワクが伝わってくる楽しい本.通勤電車の中でも楽しく読める.<P>数年後,実証されるときが来ることを祈る!