あとがきに、本が売れたドサクサ紛れに言いたいことを言ってしまえというスタンスで書いたとあり、その言葉の通り言いたいことが書かれているという印象を受けました。だからこそ読んでいておもしろかったです。<P>本書は著者が環境問題について主観的に論じたものであり、考えるヒントあるいはきっかけになります。個人的には共感できる部分が多かったのですが、著者の思想は一貫しているため、著者の他の作品を読んで共感を得られなかった方にはやはりおもしろくないかもしれません。その点では誰にでもお勧めできるという本ではありません。
一番大事なことが環境論であるという雰囲気のタイトルに関心を持ち紐解きました。<P> ところどころに出てくる比喩(ネコやネズミや鈴がでてきたり)がなんとなくわかるんだけれども、どこか子供じみているというか拙いというか私にはしっくりこない表現でして、読み進めるにつれ気分が悪くなっていきました。これがバカの壁なんでしょうか?非常に興味深い。<P> 環境論は環境政策についての著者の主観でした。意外性のある話はでてこなかったので物足りない感じはありました。<BR> 年をとり自分の角がとれたら改めて読み返したい一冊。
~養老先生は、その時々の経済の浮沈に一喜一憂する今の政治をばさりと切り捨て、環境問題こそ最大の政治問題であると言います。経済問題はGDPや為替など、ある意味で虚構の数字を基準にしていて、かつ諸国間の利害の落としどころは実のところよくわからないが、環境問題は温室効果ガスの排出量など実体を伴う数字で計測できることにより、特定の国の利害と~~いうことでなく人類共通の問題としてテーブルに載せうるという意味に置いてもきわめて重要なテーマであると言います。しかし、実際は例えば、特に温暖化による気温上昇なのか、定期的な気候変動による気温上昇なのかを断定することがきわめて難しいなど、まさに「ああすれば、こうなる」式の考え方で解決できるものでもないとも指摘しています。これで終われ~~ば単なる批評ですが、西洋的な「全く人を寄せ付けないエリア」「開発に糸目をつけないエリア」に分けていくような環境に対するスタンスを批判し、どんな環境にも人間が介在しており、人のいない環境を区分するような考え方を戒めています。そこからが養老哲学。ある日本古来(しかし今は失われた)の人と自然の関係性に着目して、勧めているのです。こういう~~考え方・語り方がどれだけ世界の先進国家に通じるのか、それはわかりませんが、まずは自分の国の足元を見つめ直すことも大切なのだな、と思いました。~