普通に見れば残酷な小説だと思う。仲良しの友達にたいした意思もなく殺された上に、好きだった男の子はその死体を隠すために知恵を巡らす。読んでいる最中に時々そのことを思い出すのだけれど、いつの間にかその考えは薄らいでしまう。きっとこの小説で使われている独特のアイディアががそのことを忘れさせるのだと思う。
同時収録の「優子」はオススメ。<BR>あれぐらいの長さと文体の方が私は読みやすかったです。<BR>長くなればなるほど集中力も欠けてくるものだと思いますが、<BR>「優子」は最後まで気が抜けない。<BR>短くてシンプルだけど「書き込まれている」感が強かったです。
何を今更、と言われるかもしれないが、乙一は天才だ。<P> 16歳にして既に文体が完成されている。解説で小野不由美も書いているように、その魅力には年齢を超越した風格がある。<P> 「子供」のなかにあまりに自然に同居する無邪気さと残酷さを描き、夏の花火のように儚く消えゆく一瞬の思い出の美しさを描く。目や耳の穴から血を流す自分の死に顔を初恋の少年に見られることを恥じる少女の死体が語る物語は、不条理でありながら美麗。この小説を面白くないと言って、何が面白いと言うのか。<P> 「GOTH」へと繋がる乙一ホラーの系譜、その始まりの書だ。グダグダ言ってないで読むべし。似た題名の映画もあることだし、映像化を切に希望する。<BR> 死体がその眼に焼き付ける、夏夜の花火の美しさ。輝く光!洪水が、真実、少女の最期の想い出となるだろうことを祈って。