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白夜行 ( 東野 圭吾 )

作品数が多い東野圭吾さん。<BR>異論も多いとは思いますが勝手なことを言わせてもらえば、この方はあたりハズレが非常に大きい気がします。<BR>その中で「あたり」は本当に見事な出来。<BR>この「百夜行」と「秘密」。<BR>描いている分野は違いますが、この二つの作品は人の心を見事に描ききっています。<BR>結び方も印象的です。

1973年、一つの殺人事件が迷宮入りする。裁かれなかった『罪と罰』はその後の日本という時代の、高度成長、ドルショック、パソコン産業の成長、バブル、そして崩壊を、漂う。1992年まで。<P>この作品、本格推理を多く手がけてきた東野には珍しく、作品途中で犯人は誰か、トリックはどうか、ということは容易に想像できる様に書かれてある。では謎が無いサスペンスかというとそうではない。この長い長い物語で主人公たる桐原亮司と西本雪穂の心情描写はついに描かれることは無かった。最大の謎は彼らたちの『心の風景』である。それを『白夜』だと一言で言っても何の足しにもならない。人間はどこまで心を隠していけるのか、人間はどこまで賢くなれるのか、人間は何を支えに生きていけるのか、真っ桊??な夜に突入するまでの長い19年間を東野最大の長編が見事に描いている。

途中からなんとなく分かってたはずなのに先がどうなるか怖くて楽しみでした。一生癒えることない傷を背負った人、それによって不幸をもらう人、事件を追い続ける人、それぞれの人たちが複雑に、しかし一本の糸で絡まり合ってるんだなぁと感じました。感動というか「そうだったんだ…」と思わせるような作品だと思います!

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