中学生の時に初めて読んだとき、何とも言えない衝動に駆られた。<BR>高校生の時に読み返したとき、懐かしさと同時に登場人物に親近感を覚え、また古き良き時代の学生像を夢想した。<BR>大学生の時に再び読み返したとき、中高当時の感受性の強さを懐かしみ、また「大人」になる自分に対し複雑な感情を抱いた。<P>様々な年代において読み返して欲しい一冊。<P>無鉄砲なバリ封を敢行しつつも、キスの1つもできない純粋な主人公が<BR>35年後の現代にはむしろ新鮮に映る。
私の友人は、大学入試に全て落ち、浪人が決定し失意のどん底を彷徨っていた合格発表の帰り、電車の中で不覚にも「69」を読んでしまい、ゲラゲラ笑っていました。
この自伝とも言える小説は本人もあとがきで書いていたように、底なしに明るく、村上龍の他の作品しか読んでない人はそのあまりにも異なる文体に驚くかもしれない。それほどまでに明るく、せつない。60年代から70年代にかけて生きた村上龍の少年時代。あの時代に生きた人や、昔少年、少女だった人なら誰でも楽しめるのではないだろうか。いつも痛烈に時代を皮肉に捉える彼にも私達と同じような少年時代を生きていたんだなあとどこか安心感すら覚えてしまう、そんな小説です。